ウルフムーンとサメハダホウズキイカ

サメハダホウズキイカ科の一種

静岡県沼津市大瀬崎 2020年1月11日

ナイトダイビングの前、お店の常連ゲストK様と今夜はどうでしょうねと話しました。

目の前の湾内には熱を持ったような赤みがかった大きな満月が昇り始めてました。うっ、迫力の満月だけど、こんだけ光パワーがあったら海の中も明るくて生物の集まりが悪かったりしないだろうか。K様が今日のこの月は「ウルフムーン」なんだってと教えてくれました。オオカミが冬の月夜に遠吠えして仲間を呼ぶのだそうです。

今日は昼間のダイビングでもあんまりクラゲもいなかったし期待薄だけど、でも浮遊好きとしてはナイトも行ってみないと気が済まないですもんね。今日はいないと思うけど私の見たい生き物はこれなんです、と店内にかかっている先輩の撮った水玉模様のサメハダホウズキイカの写真をK様と見て話した。

そしてナイトを潜ってみると、これはやばい、なーんもおらんかんじ、水面下もライトのそばも沖も浅場もシラーっとしていた。さ、寒さが身に染みる。もう一回りしたら先に上がっちゃおうかなと弱気になっていると、目の前に丸い頭目のシャボン玉みたいなものがふわっと現れた。

それはさっき写真をまじまじとみた、水玉模様のサメハダホウズキイカだった。

もうこれは習慣というか、とりあえず誰かいないか周りを見回すと、さっき話したK様がそばにいたので知らせ、他の方を呼んだ。それから交代で一緒に私も撮影して、他の方にもバトンタッチすることができた。後で考えると、自分が納得いくまで撮ってから人に教えればよかったんだ。こういうところが写真家向きじゃないんだよね。でも潜る前に声かけてくれた方の次々顔が浮かんでしまったのだからしょうがない。結果交代してしまったので全員にはみてもらえなかったのが中途半端で反省です。

やっぱり、発見のワクワクをその場にいる人と共有できるのが楽しいんだもん。

墨を吐く一瞬前のサメハダ。透明な体の中にふわっと墨が現れる。シャボン玉の中に雷雲が沸き立つような不思議な光景でした。


海から上がると、高く上った月が輝いていてウルフムーンだったと思いだしました。

オオカミだってきっと、仲間に気づいてほしいこと、伝えたいことがあるんだ。

空振りかと思いきや、楽しいナイトダイビングでした。


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